桜界逸史

5・金鳳花
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勝負は、火を見るより明らかだった

いくらディム・ソルジャーの武器を使用していたとはいえ、戦闘経験などまるで皆無の部族である

武器を持ったことによる安心感が、逆に大きな隙を生み出していた

ただ、苦戦した点を敢えて上げるとすれば、相手の数が多かったことぐらいだろうか

捕まえても捕まえても
後から後から、わいて出るように軍勢が現れる

さすがは、面積、人口共にトップクラスの国、歩月帝国と言ったところか
一部族だけで桜界国の軍人の数を半数は越えていたと思う

桜界が軍事力に特化した国であることを考えれば、それが一部族には考えられない程の人数だと分かるだろう

こんな人数が固まりで一部族とされるのならば、他からの支援付きで、ディム・ソルジャーを雇うことが可能だったというのも頷ける

ただ、多勢に無勢とは言うものの、その程度の差を苦とする桜界軍ではない

ほどなくして、或鷹族の半数以上が捕獲され、反乱も終盤に近づいていた


『銀』の隊員たちにおいても
ディム・ソルジャーの存在などにより、過度に荒れた戦いを覚悟していたが

その心配は無さそうだと皆安堵していた

しかし、


海神は一人、納得の行かない表情で戦況を見守っていた

どうも、

簡単に事が運びすぎている

この捕えた反乱軍に、ディム・ソルジャーの隊員は一人もいない

と踏んでいる

少なくとも、海神が担当したB地点を攻めてきた者達には、いない


何故だろうか

明らかにおかしい


捕まえた奴らにしても、闘志を失ったわけではないようだ

おとなしくはしているものの、その目にはまだ光があった


胸のわだかまりが抜けきらぬまま、海神は摂陸に無線を繋げた



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