桜界逸史

7・薄雪草
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海神を乗せた加陽は、滑るように走っていた。

「空雉もディム・ソルジャーと……。で?空雉が倒したヤツはどうしたんだ?」

「知らないよ、僕は。どっかに転がしてあるんじゃないの?」

「殺しては…」

「いないだろうね、空雉さんも甘々だから」


…だな、とため息混じりに一言同意してから、海神は顔の雨を拭った。


「もうすぐ空雉先輩と合流できるよ」

加陽の言葉を聞いて、気を引き締める。

正直、今の自分がどれだけ役に立つか、分からなかった。

これくらいの傷ならば、組み手で鍛えていることもあり、痛みで動けなくなるなんてコトはない。

ただ、戦闘において何からの支障が出ることは確実だ。


血を、流しすぎた。


「…………」

加陽は横で揺れに耐えて、小さくながらも顔を歪める海神をじっと見た。

「………なんだよ」


それに対して海神の不機嫌そうな声がかかる。

口調はいつもより荒かった。




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