ごった煮倉庫

聖域警察24時
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【聖域警察24時・ファイル@】


聖域・教皇宮黄金聖闘士執務室。
そこは猜疑で腹を探りあい、悪意ある視線と欺瞞に満ちた、ある種の危険をはらんだ空間である。
そんな執務室の秩序と平和を守るため、今日も必死で働く男が一人。

そう、彼こそが聖域警察の新米警官・アイオリアだ。

その真面目さと熱血ぶりは、黄金聖闘士随一。
警官としての正義感に溢れ、真っ直ぐに信じる道を突き進む。
そのあまりの直情的熱血ぶりに、人は彼の事をこう呼んだ。
『熱血警官・サンダー』と。

そんなアイオリアの今日の仕事は執務を堂々とサボった、とある人物の逮捕である。
十二宮の階段を駆け下りる様は、まるで光の如く。
その華麗なる走りっぷりは、まるで一流アスリートの如く。
その表情は、執務をサボった男への怒りで鬼のように強張り、これぞ『サンダー』の名の如く。

――ズガーン!!

辿り着いた先は巨蟹宮。
そのプライベートルームの扉を怒りに任せて勢い良く開け、人の部屋だというのに遠慮もなくズカズカと入り込んでいく。
そして、その中でも更に奥にある部屋の扉を、再び壊れんばかりの勢いで開け放った。

リア:「デスマスクよ!貴様、堂々と執務をサボるとは、黄金聖闘士として、いや、男として認めんぞ(怒)!…ムムッ?!」

そう、そこはデスマスクの寝室だった。
だが、部屋の扉を開けた途端、その異様な光景に目を見張る。

リア:「な、なんだ、コレは?!」

部屋中、所狭しと漂う白い物体。
フワフワと揺れ動き、飛び回り、何とも怪しい。
実は、コレ。
以前、巨蟹宮の死仮面の一部だった浮遊霊である。
聖戦後、巨蟹宮の死仮面となった霊達は全て浄化され、冥界へと旅立った筈なのだが、一部の霊達は未だこのように巨蟹宮の地縛霊として残っていたのだ。
普段はデスマスクの小宇宙により抑え込まれている霊達ではあるが、唯一、自由になれる時間もあった。
それがデスマスクの睡眠時。
そう、今この時である。

リア:「むっ!幽霊に怯むなど、このアイオリアに限って断じて有り得ん!今直ぐ、追い払ってくれる!」

手当たり次第に腕を振り上げるも、相手は実体のない幽霊。
なかなか当たるものではない。
それに加え、デスマスクを起こされてしまっては折角の自由な時間を失ってしまう霊達の必死な抵抗にあい、てんやわんやの様相。
ハチャメチャに追い掛け回している内に、苛々が募ってきたアイオリア。
振り上げた右手が空を切った、その時。
最後の枷が見事に外れた。

リア:「えぇい、面倒!喰らえ、ライトニングプラズマ!!」

ズゴーン!!バキバキバキ…。

デス:「ぐはぁぁぁぁ!!」
リア:「あ、しまった;」

霊に雷撃が通用する筈もない。
あっさりとすり抜けたそれは、部屋中を破壊し、ついでに寝ていたデスマスクにもクリティカルヒット。
巨蟹宮は半壊、デスマスクには全治一ヶ月の致命傷を負わせてしまった。

リア:「…すまん、デスマスク。」
デス:「ふざ、けん、な…。てめぇ…、ガクッ。」

何はともあれ、サボりの現行犯でデスマスクを始末する事が出来た。(始末って…;)
仕事を無事に終えた達成感と充足感に満ちた表情で、アイオリアは意気揚々と十二宮の階段を戻っていった。

聖域には、今日も多くの悪が溢れ蔓延っている。
そんな聖域の平和を守るため、努力を続ける「熱血警官サンダー」アイオリアの多忙な毎日は続くのだった。


(おわり)




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